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反抗的な生徒を素直にさせる方法

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小学生から高校生を相手に教育業界に携わっているさきです。

教育者の立場に立つと、色んな場面で生徒との関わりに困ることがあります。

中でも本音を話してくれない生徒への指導は非常に困難です。

教師と生徒といっても、全ては人間関係によるものです。

今日は、生徒を素直にさせ、心を開かせる方法についてお話しします。

   

生徒との壁を受け入れる

まず、初めて会った生徒と教師は年齢も違えば趣味も違い、見てきたものも経験してきたことも違います。もちろん異なる時代で育ってきていますので、教師の学生時代に流行っていたものも当たり前だったことも当然違います。

 

そんな大人と今を生きる子ども達の間には、どれだけベテランであっても生徒と歳が近くても、壁があります。お互いに理解し難いことも、心から分かり合えないこともあって当然です。さらに、自分が育った地域で教師をするとも限りませんから地域性による壁も存在するかもしれません。

 

例えば、私は関西で生まれ育ち、生粋の関西弁を話します。昨年3月まで東京で教育の仕事に就いていましたが、自分らしく授業をするために、東京では、集団授業でも個別指導でも関西弁で話していました。方言で話す変わった先生という印象を受け、言葉の壁を感じた生徒もいたでしょう。

 

時代や趣向や地域など、取っ払うことができない壁もたくさんありますが、唯一取っ払うことができるのが心の壁です。外国の方とコミュニケーションを交わす時に、文化の違いはあれど心は通じ合える、という場面がありますが、それとよく似ています。

 

心の壁を取っ払う

心の壁とは、自分の心の内をガードし、相手に伝えないようにする守備モードの心構えのことです。自分のことを相手に知られたくない、本音を言いたくない、相手のことも別に知りたくない。そんな自らが作り上げている壁のことです。

 

心の壁があると、こちらの話も響かないし、指導は成立しません。人間関係の第一歩として、この心の壁を取り除かなければ、相手との距離を縮めることはできないのです。では、どうやって心の壁を取っ払えばいいのでしょうか。

 

まず、心の壁とそれ以外の壁を教師が正しく認識しなければなりません。例えば、「育った環境」や「趣味の偏り」などを批判したり、教師自身を基準に考えた時に違和感を感じるという理由だけで生徒を咎めてはいけません。

 

個性や生徒のそれまでの経験による壁なのか、自分を知られたくないというガードの役割の壁なのか、正しく理解することが重要です。人間関係を築く前の生徒が『言われて不快になる・困ること』は心の壁以外の壁をぶち壊そうとしていることに繋がります。

 

次に、生徒が心の壁を作っていると感じた時には、こちらが積極的に心の壁を崩していきます。例えば、自分の趣味や家族のこと、学生時代の話、好きなものや体験してきたことなど、相手のことを知りたいのに自分から話してくれない時はこちらが先に話します。

 

過度な自己紹介はいらないと思いますが、こちらが情報開示することで、相手の話す気力を引き出すという場面には何度も出くわしてきました。一教師としてではなく、一人の人間として、どんな大人でどんなことを思っているか伝えることで、生徒も安心するみたいです。

 

教師自身が、生徒との認識の違いを認め、心の壁を取っ払おうと努力することで、生徒も同じように、違いを認めながら少しずつ心の壁を取っ払っていきます。人間関係作りの第一歩は、心の壁を取っ払い、信頼関係を作っていくことです。

 

教師も一人の人間であることを理解させる

次に、教師も一人の人間であるということを生徒に分からせます。教師だから何でも教えてくれる、教師は間違わないなど、生徒は教師に対して勝手に固定観念を抱いています。

 

「教師だって人間であり、間違うことだってある。」

「生徒対応できる時間にも限界があるので、自分でできることは自分で進めてほしい。」

 

初めにそう言っておくと、例え自分がミスしてしまったり、忙しくてすぐに対応できなくても、いちいち信頼を失うことはありません。もちろん何でも許されるというわけではありません。生徒の安全や成績に関わることなど、絶対に間違ってはいけないこと、優先すべきケースがあるのも事実です。

 

ここでいうミスとは板書を少し書き誤ったり、言い間違ったりすると、教師というだけで異常なくらい批判されたりすることです。途中で気付いて訂正しても、「教師のくせに」と批判されたりします。まさに今世の中の子供たちの中に教師を評価し批判する風潮があるのは事実です。

 

そうなる前に、教師も人間だから常にカンペキではない。でも、精一杯できることはする。という宣言をし、あとは姿勢を見せましょう。何か問題が起きる前に先に話しておくというのはとっても大切。

 

前もって予定を伝えておく

また、予測できること、起こりうること、受験指導なら学習計画、学校教育においてなら一日または学期ごとのスケジュールなど、先に心の準備をさせることで生徒の不満は縮小できます。

 

中学生なんて、すぐに「えー」と文句を言いますが、前もって予定を伝えておくことで「こちらもちゃんと伝えていたから心づもりできてるはずだよね。」と言うことができます。せっかく心を開いて良好な人間関係を築き始めていても、小さな不満からまたぎくしゃくしたりします。

 

子供たちは基本的に気まぐれですので、全てに神経質に対応する必要はありません。しかし、前もって予告できていなかったことに対しては反発する生徒がいます。これは学校でも塾でも起こり得ます。

 

やむを得ない急な変更以外では、前もって予定を伝えることで、小さなトラブルを予防できます。教育現場はただでさえイレギュラーが多い所なので、普段から前もって伝えることは意識して損はありません。

 

些細なことでもコミュニケーション

教育現場において、コミュニケーションに勝る指導はなく、コミュニケーションに変わる指導もありません。コミュニケーション量は人間関係構築のカギです。どれだけ生徒のことを考えても、コミュニケーションがとれていないと人間関係は発展しません。

 

目を見て挨拶したり、「元気?」と声をかけるだけでもOK。そんな些細なやりとりもコミュニケーションです。もちろん生徒の変化に気付いて声をかけてあげられたら、自分を見てくれていると実感した生徒はこちらに信頼を置いてくれます。

 

でも、大勢を相手にしている場合、細かい所まで全員に気が回らないこともあります。そんな時は、本当に小さなことでも、挨拶だけでも大丈夫。コミュニケーション量は多いに越したことはありません。

 

コミュニケーションは声をかけることだけではありません。集めたノートや提出物にコメントを書いて返却したり、他にも色々工夫はできます。大切な話は一対一で時間をとって話さないといけませんが、日常生活ではコミュニケーションは質より量。なるべく多く関わる中で人間関係が積み上げられます。

 

生徒は自分の鏡

最後に忘れてはいけないのが、生徒は自分の鏡だということ。教師が扱いにくいと思っている生徒は、教師を扱いにくいまたは関わりづらいと思っているはずです。こちらがめんどくさいと思って関われば、相手もめんどくさいと思って関わります。

 

最初の話に戻りますが、教師が心の壁を作ってしまうと、生徒も心の壁を取っ払ってはくれません。教師が素直でなければ生徒も頑なになってしまうでしょう。どんな時も、生徒は教師を観察して、自分の立ち振る舞いを決めています。

 

先述した5つのポイントを押さえて接することができれば、扱いにくいと感じる生徒とも人間関係を築くことができます。私はこれらのことを意識して、どんな生徒とでも関わってきました。時間がかかることもありますが、今では誰とでも信頼関係を築く自信があります。

 

対生徒の立場に立った時に、円滑に教育を進めるために、少し工夫するだけで結果は大きく変わります。是非教育者の方は取り入れてみてはいかがでしょうか。