さきの教室

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集団講師歴12年の私が語る注意を魅きつける話し方のコツ

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大学時代から12年間ずっと集団授業をしているさきです。

人前で話す機会の多い私が聞き手の注意を集めるために工夫していることをまとめてみました。

やっていることはシンプルなのですが、聞いていて眠くなる人の話ってこういうことが欠けているなぁと思う内容です。

  

話し手側である以上気を付けることは同じ

私はこれまで、進学塾の集団授業の講師、中学校・高校の教師、ボイトレ講座の講師、講演会のゲスト、合唱団の団長など、集団を相手に何かを教えたり、体験談を話したり、まとめたりする役目を担う機会がたくさんありました。

 

相手は小学生から高校生まで、自分より年下の学生だったこともありますし、同年代だったこともあります。また、講演会やボイトレに関しては来られる層が様々ですので、性別、年代も様々な人たちが混ざっていました。

 

話す内容や言葉のチョイスはもちろん状況によって変わりますが、それ以外のところは基本的に変わりません。前に立って話す以上意識すべきことは限られているんです。私の体験とこれまで出会ったスピーカーから学んだことをお話したいと思います。

 

人の目を見て話す

一対一だとできるのに、相手が集団になった途端、資料やメモから目を離さなくなったり、意味のないところを見ながら話す人が多いです。といっても集団全員の目を見て話すなんてどうやるんだろう、と私も初めは思っていました。

 

まず、話し始めの方で、前の方に座っている人の目を見て話します。左の方、真ん中あたり、右の方、と順番に目を合わせていくようにします。大体3秒ずつくらいです。相手が下を向いている時もあると思いますが、気にせず続けます。

 

話し手が自分以外の人に語りかける姿勢を見て、後ろの方に座っている人も、こちらと目を合わせようと顔を上げて聞こうとしてくれます。目を合わせることで、お互いに信頼性が生まれやすいので、なるべく多くの人と目を合わすことを心がけます。

 

前の方を見渡した後は、真ん中から少し後ろくらいの人と目を合わせるつもりで顔を上げて話します。そうすると全体を見渡せますし、全員に向かって話しているように感じられます。目線が下すぎても暗い印象になりますし、上すぎても親近感が持てなくなります。

 

また、明るい表情で話すよう心がけましょう。口角を上げて、少し微笑むような表情の方が聞き手に好感を与えられます。対集団になると物理的にも精神的にも距離ができてしまうので、少しでも親しみやすさを持って話すことでも距離を縮められます。

 

間や速度の変化を利用する

間は聞かせるために非常に効果的です。効果的なのは強調したいキーワードの前に間を置くことです。連続して話が続いている時に、急に声が途切れると聞き手は注意をこちらに向けます。ポイントは唐突に間を置くこと。

 

塾なんかでは「顔を上げてこっちを見なさい」と指示するよりも黙ってしばらく前で立ち尽くす方が顔が上がります。教育現場でなくても、流れに意外性を作ることでメリハリがつきます。退屈しない講演会ではそういった間も上手く用いられています。

 

他にも一文の中に強調したい言葉がある時は、倒置を用いるのも効果的です。先に単語を提示し、間を置いて説明を続ける。または強調したい言葉だけゆっくり読むと大きな声を用いなく

 

ても十分相手に伝わります。

 

繰り返しますが、単調な流れではなく意外性を生むことでこちらに注意を魅きつけることができるのです。始終ゆっくり話すのではなく、少し早口で説明してみたり、覚えておいてほしいワードはゆっくり読んでみたり、緩急をつけると聞き手を退屈させません。

 

相手が興味を持つ話題を取り入れる

もちろん言われなくても聞き手のニーズに合わせて話す内容は準備しているものだと思います。でも、ここでいうところの相手の興味とは、『今回聞けるであろう内容』ではない話です。

 

例えば、ボイトレ講座で発声や音楽に関する知識をお伝えするのは当たり前ですよね。英語の講師が英語に関する知識をお話しするのも想定内です。もちろん趣旨に合った内容は全力でお届けしなくてはいけませんし、それは大前提のお話。

 

イメージとしては、「そんなことまで聞けてラッキー」と思わせるような付加価値を提供するといったところです。 これがあると聞き手の満足度は上がりますし、またこの人に会いたい、また聞きたい、と思う理由につながります。

 

私自身の体験から例を挙げると、「ボイトレ講座にきて、姿勢まで矯正できた」と喜んで帰られた生徒さんはたくさんいます。声楽家が解説!歌が上手くなる体作りでもお話しているのですが、体は楽器なので、姿勢改善もレッスンの一部なんです。

 

姿勢が改善されると日々の肩こりや痛みが和らいだりもしますので、参加された方にとっては意外性があって、得した気分になるようです。ボイトレ講座でいうと、「歌声の成長に伴って話し声がクリアになったり滑舌が良くなった」ということもよくある嬉しいお声です。

 

講師として前に立っている英語の授業では、勉強方法や授業内容以外に目標設定の仕方をお話しています。短期目標とその立て方、長期目標との違いなど、受験生は目の色を変えて聞いています。もちろん効果的に伝えるタイミングは選んでいます。

 

まとめ

以上3点が私自身、今でも意識している中で重要だと思う内容です。人の目を見て話すのは、慣れてくると無意識にできてきます。話し方も、間や速度などはある程度経験していると上手く扱えるようになります。

 

どんなに慣れてきても、相手に「えっ…」と思わせるような意外性、期待以上の学びなど、興味を持たせる工夫は忘れてはいけません。同じ相手でも、違う相手でも、相手を楽しませ魅きつけることができる話し手とはそういうことです。