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ボイストレーナーが語るボイトレによって期待できる付随効果

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ボイストレーナーのさきです。

私は大学生の時に恩師であるボイストレーナーの先生に出会い、体の使い方、発声の方法、声帯の仕組みと使い方など、様々なことを学んできました。

ボイトレを通して歌が上達したことはもちろん、それ以外にもたくさんの効果を感じられました。

今日は私がボイトレを通して得ることができた効果についてお話しします。

   

姿勢改善と肩こりの解消

ボイストレーニングの一部に歌うための体作りがあります。体作りに関しては声楽家が解説!歌が上手くなる体作り - さきの教室でも解説していますが、発声しやすい姿勢は、無理がなく自然体に近いと言われています。体の歪みを取った状態とも言えます。

 

無理なく声を出すために必要な声帯の周りの筋肉をほぐそうと思うと、首、肩、腰、足など繋がっている全ての箇所の歪みを直さないと根本的な解決にならないのです。私は初めに皆さんの体の歪みからチェックするのですが、どちらかの肩が上がっていたり、どちらかの足が短くなっていたりすることは多々あります。

 

細かくほぐしていきながら歪みを整えていくのですが、その時に一番大事なのは股関節の柔軟性です。股関節が硬いと、体の中心をしっかり捉えることが困難になり、また股関節が硬くなることによって左右のバランスが崩れてしまっていることが多いです。

 

股関節から順番にほぐしていきながら、手や肩に入った余分な力を抜いていきます。多くの人は体に力が入りすぎています。そうして順番に脱力してもらい、最後に首の周りの筋肉や凝りをほぐしていきます。不思議なことに、この時には始めより随分首の周りも柔らかくなっています。

 

順番にほぐしていくと、体のパーツは全て繋がっているんだと感じます。体をリラックスさせることは、声を出すことにおいて非常に重要な要素なので、このプロセスは外せません。目的は歌いやすい体づくりですが、同時に体の調子が随分良くなることが多いです。

 

体に入った余分な力を抜き、リラックスさせることで、姿勢が安定します。体が本来あるべき姿に戻ろうとするので、体に柔軟性を持たせることで姿勢が改善されます。結果、肩凝りなどの血行や体の歪みによる不調が治ることが期待されます。

 

もちろん私は医者ではありませんので、痛みをとることや痛んでいるところを治すことが目的ではありませんが、体の本来の形に戻すお手伝いをすることで、姿勢改善や肩凝りの解消という効果があることは私を含め多くの方が体験しています。

 

滑舌がよくなる

ボイトレによって、息漏れの少ない声を習得することができます。メカニズムについてはミックスボイスを出すための最も効率的な練習方について - さきの教室で触れています。息漏れのない声は聞き取りやすいクリアな声なので、一つ一つの言葉がはっきり聞こえます。

 

また、声帯の周りの筋肉や舌などが柔軟になるため、ボイトレをすると言葉の発音が鮮明になります。滑舌が悪いというコンプレックスを持っている方も、電話での声が聞き取りにくいと言われている方も、ボイトレを通して改善することが期待できます。

 

声が通るようになる

ボイトレの中で、腹式呼吸を習得してもらいます。腹式呼吸とは、運動をした時などの浅い胸式呼吸とは違って、横隔膜を広げて息を吸い、横隔膜で息の量をコントロールしながら声を出します。息の量は声の大きさに比例しますので、多くの息をコントロールできる腹式呼吸を用いれば、声量を大きくすることもできます。

 

それだけでなく、横隔膜を使って声を出すことで声帯への負担が減り、声帯の周りの筋肉に余計な力がかからないので、声帯の間に隙間ができにくく、息漏れのない声作りをサポートします。そうすることで、息の量をコントロールすることで声が遠くへ通りやすくなります。

 

声が枯れにくくなる

先述した全ての要素が関係するのですが、ボイトレによる効果のうち、私自身が私生活で顕著に変化を感じたのは声が枯れなくなったということです。私の声帯は薄く、長めなので傷つきやすいと耳鼻科で言われてきました。なので、集団授業で酷使するとすぐに声が枯れ、全く声が出なくなったこともあります。

 

そんな私がボイトレを習得して発声が改善してからは、いくら集団授業で声を出し続けようとも、職場の中学校で大声で生徒に注意しようとも、声が枯れるという事態はなくなりました

 

腹式呼吸を習得し、横隔膜で息の量を調整することによって息漏れが防げると、声帯が乾燥しにくくなります。声帯に隙間ができると息漏れし、その息漏れした箇所が乾燥して傷つきやすくなるのです。そうやってできた声帯の傷が声が枯れる原因になります。

 

声帯の傷を治すためには完全に声帯を休めて一言も発さない他ありません。もちろん傷の度合いにもよりますが、48時間黙っていると声帯は回復すると言われています。しかし48時間全く話さないのは日常生活ではかなり無理があります。故に、声帯の傷を治すのは非常に困難なのです。

 

また、声帯が傷ついた状態で酷使し続けると、ポリープができ、手術以外で治すことができなくなることもあります。そうなる前に、正しい発声を学び、楽に声を出す方法を習得してくださいね。

 

さいごに

ボイトレは歌が上手くなるためのものだというイメージが一般的に大きいと思うのですが、実はそれ以外の私生活にも様々な効果があります。歌も上達して、姿勢や話し声まで改善される、ボイトレの魅力が伝われば嬉しいです。

 

また、体を通して習得するものなので、ボイトレで得た体や声帯の使い方は、一度習得すると簡単に忘れることはありません。声を使う機会がある方全てに効果のあるボイトレで、声の悩みを解決してくださいね。