さきの教室

声のこと教育のこと人生のこと。どんな悩みも一緒に解決します

MENU

声楽家が解説!歌が上手くなる体作り

f:id:sakitouchi:20161231013524j:plain

2017年になりました。

今年も皆さんに少しでも学びがある記事を発信できるように頑張っていきます♬

今日は歌が上手くなる体作りについてお話ししていきます。

 

 

歌うための体作り

楽器の演奏者にとっての楽器はピアノやギター、バイオリンなどの楽器ですが、私たち歌い手にとっての楽器は言うまでもなく自分自身です。ピアノやギターやバイオリンに調律や調弦などのメンテナンスが必要なように、私たち歌い手には体のメンテナンスが必須です。

 

一時的な無理のしすぎで声が枯れてしまったり、風邪をひいたことで声帯を痛めてしまった時は、声帯の様子をみてくれる病院で治療してもらうことが必要です。これもメンテナンスの一部です。

 

しかし、楽器を乱暴に扱うとすぐ壊れてしまうように、歌い手が体や声帯の使い方を間違い続けるとまた同じように声帯を痛めてしまいます。体や声帯が上手く使えていれば、少しぐらい風邪をひいていたっていつも通り歌うことができます。

 

要するに、いつでもベストコンディションで歌うためには、歌うことに適した体作りをすることが何よりも大切なのです。

 

お酒とタバコは声帯に悪い?

では、日常生活でどんなことに気を付けたらいいのでしょうか。よく質問を受けるのがお酒とタバコについてです。「お酒やタバコは喉に悪いですよね?」という疑問は多くの方が抱いているのではないでしょうか。

 

まずお酒に関してですが、基本的にお酒が声帯を痛めることはありません。食べ物や飲み物は食道を通るので声帯とは直接関係がないのです。ただ、お酒を飲むと喉が乾燥しやすくなります。なので、ライブやコンサートなどの前日は控えた方がいいでしょう。

 

ミックスボイスを出すための最も効率的な練習方についてでも触れているのですが、声帯にとって乾燥は天敵です。乾燥することで声帯の表面が傷つきやすくなってしまいます。歌い手でいるために禁酒する必要はありませんが、大事な本番前は飲み過ぎないに越したことはありません。

 

次にタバコについてですが、これは声帯に大いに関係します。1日あたりのタバコの量にもよりますが、タバコを吸った時に発生するニコチンが声帯にまとわりついて、声帯の動きが鈍くなります。1度吸ったくらいでは声が完全に変化するまでには至りませんが、喫煙の直後は少し声が低くなる傾向にあります。

 

男性で低い声を出したい時に一時的にタバコを吸う人がいるという話を聞いたことがあります。一時的にはそういった効果も期待できるかもしれませんが、慢性的にタバコを吸い続けると、今まで通り声を出しにくくなります。特に高音が出にくくなるので、私の大学の同期にも、入学時歌えてた歌が歌えなくなった喫煙者の女の子がいました。

 

ちなみにタバコに関しては、禁煙することで声帯の状態は元どおりに回復していきますので、高音が出しにくくて悩んでいる人でタバコを吸っている人がいても、禁煙することで元の状態に少しずつ戻っていきます。

 

全身を柔らかくすることが大切

私は元々肩が凝りやすく、体も固い方です。長年バドミントンで培った筋肉が固まりやすいことも関係しているようです。これは歌い手にとってはいいことではありません。声帯の周りの筋肉を引っ張ったり緩めたりすることで高音や低音を出しているのですが、この筋肉が柔軟でないとスムーズに声を出すことができないのです。

 

更に、声帯の周りの筋肉だけが独立しているわけではないので、股関節、腰、背中、首と全ての筋肉の歪みや凝りが影響しています。そんな全身の筋肉をほぐして歌いやすい体作りをお手伝いするのもボイストレーナーのお仕事です。希望される方や体が固まっている方にはまず全身の歪みなどをなくすためにほぐしてからレッスンしています。

 

体が柔らかくなると息の流れも良くなりますし、声帯の周りの筋肉も動かしやすくなります。運動前の準備運動のような役割を担っているのが、体を柔らかくすることを含むリラクゼーションです。自宅で毎日柔軟体操することももちろん効果がありますので、目的意識を持って体をほぐしましょう。

 

センタリングとブレス

歌う時の姿勢は、体の中心を意識して両足に均等に重心を乗せるようにします。まず、足を肩幅か少し狭いくらいに開いて、軽くかかとを上げて背伸びをします。そのあとゆっくり前を向いたままかかとを下ろします。その時の姿勢が一番自然なまっすぐの姿勢に近いと言われています。

 

これはどこにいてもできる直立のためのトレーニングなので、思い出した時にやるようにすると、舞台で立った時に綺麗な姿勢が身につきます。この時、おへその少し下あたりに体の中心があることをイメージして立つと、背筋が伸びてカッコよく見えます。

 

また、このおへその少し下あたりを意識して息を吐く練習をすると、本番前にも自分自身で気持ちを落ち着けることができます。まっすぐ立つ姿勢が保てたら、その姿勢のままゆっくり鼻から息を吸って、先ほどのおへその少し下から息を送り出すつもりでゆっくり吐いてみましょう。

 

まっすぐ姿勢を保つこと(センタリング)と息の出し入れ(ブレス)ができるようになれば立ち姿も息づかいも改善されます。更に呼吸には気持ちを落ち着けるパワーもありますので、リラックスすることができるのです。

 

毎日意識してみましょう

今日お話しした

・体の柔軟性

・姿勢とセンタリング

・ブレスとリラクゼーション

を毎日意識して過ごすだけで、歌い手としての魅力が3割増しすることは間違いありません。すぐに実践できること、気を付けられることもあったと思います。できることから1つずつ取り入れてみてください。